人は誰しも
自分が意味づけをした、いわゆる
主観的な世界に住んでいる。
たとえ一時的に他者の価値観の侵入を許したとしても
時間が経つと
きれいに自分を主観とした世界に整理される。
それは、
自分にしか理解できない思考回路が働くから
人に説明しにくいものかもしれない。
とにかく
自分の「都合」でできた世界に住んでいる。
たとえば、
変化を必要とする
従業員数10名の組織があるとする。
変化の必要性を従業員たちが理解し
それぞれが自主性をもって
今の根本的な問題に取り組む
というのが
現状を脱却するのに必要なことだとしても
そいう理論だけで
従業員たちが動くことはできない。
なぜなら、みんな
自分が意味づけをした世界に住んでいるから
そこに「変化」が入り込むことを認められない。
「自分は一生懸命やっている。
今だって自分の時間を犠牲にして忠誠を尽くしている。
それでも
現状に満足さえしていない。
十分に不満だし十分に将来が不安だ。
これ以上どうやって変化しろというのだ」
という考えを抱くかもしれない。
または
「以前、言われたことをやった。
でも、そのことに対して
なんのリアクションもなかったじゃないか。
やっていることに対してじゃなくて、
やっていないことに対してばかり評価されてきた。
これ以上自分を犠牲にするのはごめんだ」
という決定を自分自身にしているのかもしれない。
または
「変わらなければならないのはわかる。
でも、何をどうすればいいのかがわからない。
自分の考えだけで
やってもいいものなのか。
だれかが引っ張ってくれないと
自分だけで動くことはできない」
と感じているかもしれない。
そういう個々の考えを理解できないまま
問題解決のためのさらなるプランとアクションを示せ
と言ってもそれは無理なことだろう。
だから、
この状況を変えなければならない、と感じた人間の
リーダーシップの執り方が非常に重要になる。
変化の必要性を感じない、
もしくは感じてはいるが受け入れられない
従業員たちの抱いている価値観を理解することから始め、
双方の間に埋もれている問題を発見し、浮き上がらせ、
共有の段階まで引き上げてくることが必要になる。
相手を変えようとするのではなく、
まず相手の部屋の前まで赴き
語り合い、相手の主観を尊重したうえで
自分の主観を説明し、説得する。
組織が変わらないことには理由があるが、
それを理解したところで何も変わらない。
リーダーシップを執る人間が
本質的な問題を見極め、
それに向き合うということが
変化への第一歩だと思う。
そして、
誰も正しい方法を知らないのだから、
その過程で学ぶことが大切なんだと思う。